技術の概要
本解説は、車載用カメラの筐体とコネクタ部の伝送特性劣化を抑えるリング部材の構造と組立手順を俯瞰します。リング部材はフランジ部の溶着リブを用いて回路基板に対する傾斜を吸収し、コネクタ伝送の安定性を確保します。併せて、6軸/3軸調整の効果や歪曲中心DC位置情報の活用についても要点を示します。
ユースケース
- コネクタ伝送特性の劣化抑制
- 筐体とリング部材の安定的な接合・保持
- 6軸/3軸調整によるレンズユニットの高精度配置
- 歪曲中心DC位置情報の活用による表示画像の最適化
- 車載環境での高周波信号伝送とフレームレート確保
リング部材は、レンズユニットのフランジ部と筐体の端面を溶着する平板状の部材で、内周はレンズ鏡筒の外周と対向します。フランジ部には溶着リブが全周に配置され、リブは第1部分と第2部分の高さが異なる設計です。これにより、レンズユニットがフランジ部を介して回路基板に対して傾く場合でも、リブの接触でリング部材が回路基板に平行になるよう押し戻されます。距離Dは約0.1~0.4 mm程度、フランジ部の傾斜角は約1.15度以下に設定されることが多く、コネクタ伝送の特性低下を抑制します。さらに、筐体内の大径筒部と小径筒部の二重筐体設計により、コネクタは回路基板の内外で安定して接続され、信号雑音を低減します。組立では、6軸調整でレンズユニットの位置姿勢を最適化し、MTFのばらつきを抑えつつ十分な解像を確保します。歪曲中心DCの位置情報は不揮発性メモリに格納され、起動時に出力画像の中心合わせと表示品質の両立を実現します。
本技術は、車載用カメラのレンズユニットと筐体を結ぶリング部材に、フランジ部から突出する溶着リブを全周にわたり設け、リング部材を回路基板に平行に保持する点に特徴があります。フランジ部の第1フランジ面とリング部材の第4面を接触させ、溶着リブの第1部分と第2部分の高さを異ならせて、回路基板の傾きを吸収します。実際の高さHG1とHG2はHG1<HG2となる設計です。組立ではレンズユニットを6軸調整し、X/Y/Z軸と回転軸周りで姿勢を最適化します。6軸調整ではMTFのばらつきが小さく、最低MTF値も50%程度と3軸に比べ改善します。距離Dは光軸方向距離で0.1~0.4 mm程度、フランジ部の傾斜角θは約1.15°以下に設定されることが多く、リング部材が回路基板に平行になるように確実に溶着されます。これにより、筐体内外のコネクタが傾くことなく接続され、伝送特性の劣化を抑制します。歪曲中心DCの位置情報は不揮発性メモリに格納され、起動時には記録画素領域R2の出力画像とDC位置をECUへ伝送します。ECUはR2と中心DCを基に表示画像IM3を生成し、歪曲中心を中心とする高品質な表示を実現します。MTF評価は、6軸調整時に3軸より安定し、最大画角の6割付近での性能確保を支援します。コネクタ長手方向は回路基板第2面に直交させ、伝送特性を最適化します。総じて低コスト製造と高信頼性・高画質を両立します。
