技術の概要
本技術は、ステアリングホイールの握り具合を高精度に検出する装置です。リム上の大きい電極をセンサとして活用し、内層に配置した別の電極をシールドとして切り替える2つのモードを用います。環境変化にも耐えるロバスト性を実現します。
ユースケース
- 車載システムにおけるステアリングホイールの把持検出
- 運転者の握り離れ検知による安全支援機能の起動/停止
- 冬季など温度条件が悪い環境での握力検出の信頼性向上
- 組込型のロボット/自動運転補助機器の人手接触検知
- 静電容量の寄生容量補正を活用した高信頼性の近接センサ応用
本技術は、ステアリングホイールの握りを判定するグリップ検出装置です。リムに配置される第1電極をセンサとし、内層に配置される第2電極をシールドとして機能させる2つのモードを切り替えます。第1モードでは第1電極をセンサ電極とし、第2モードでは第1電極をシールド電極とします。これにより、手と第1電極の間の静電容量変化を検出すると同時に、寄生容量を抑制します。静電容量の計測は環境変化の影響を受けやすいため、環境要因を補正する工夫が施されています。第2電極には直流を流して発熱させる機能を持たせることができ、握力検出時の温度を安定させる効果があります。リムの表面に巻回された基材と電極の構成により、部品点数を抑えつつ柔軟に実装できます。なお、温度と湿度の変化に応じた静電容量の変動を考慮する設計となっており、長期的に安定した検出が期待されます。
本発明は、リム表面の第1電極と内層側の第2電極を組み合わせ、制御回路が第1モード(第1電極をセンサ電極、第2電極をシールド電極)と第2モード(第1電極をシールド電極、第2電極をセンサ電極)を選択的に切替え可能である点を特徴とします。第1モードで検出された静電容量は手指との接触由来のフェージ容量成分と寄生容量成分を含み、第2モードで検出された静電容量は基板内の寄生容量を表します。これらを用いて、第1モード静電容量から寄生容量成分を推定し減算することで、手の接触による有意な容量変化すなわち把持を高精度に検出します。加えて、第3モードを追加することで第2電極をヒータとして動作させ、握り部の温度を上げて温度安定性を向上させることが可能です。モード切替は制御回路とモード切替回路により周期的・任意に切替えられ、静電容量センサ回路はセンサ端子とシールド端子をそれぞれ用意して、複数の電極組み合わせを実現します。実装上はリムに長尺の基材を巻付ける構造とすることで、柔軟性と耐久性を確保し、複数箇所での検出を可能にします。これらの設計により、外部環境の影響を受けにくく、部品点数を抑えつつ高い検出精度と安定性を両立します。将来的には複数の第1電極・第2電極の組合せや、他部位への適用も見込まれ、車載安全性の向上に寄与します。
