レーダ装置と多重送信で物標検知を高度化

技術の概要

本解説は、複数送信路を持つレーダ装置と送信タイミングを遅延させる同期機能を組み合わせ、物標を効率的に検知する考え方を俯瞰します。モノ/マルチスタティック構成を活用して、距離と動政策を同時に把握する点に焦点を当てます。

ユースケース

  • 自動車の高度運転支援システム(ADAS)および自動運転支援機能の周囲検知
  • 路側インフラに設置するセンサとしての安全・監視用途
  • 交通監視・車両検知システムによる渋滞管理・交通状況把握
  • セキュリティ監視システムでの周囲侵入検知
  • ロボット・ドローンなど移動体の周囲障害物検知と衝突回避

本技術は、複数の送信路を持つレーダ装置と、送信タイミングを遅延させる同期機能を組み合わせ、物標を効率的に検知する手法です。第1/第2送信信号を複数回の送信周期で同時または交互送信し、距離・速度情報を同時に得やすくします。受信側は分離部とCFAR処理で自レーダと他レーダの反射波を区別し、測位を高速化します。チャープ信号等の周波数変調でドップラ多重と距離分離を実現し、送信遅延を用いた誤差補正も可能です。車両や路側など移動体・固定物への搭載が想定され、ADASや自動運転支援、セキュリティ監視、交通監視、インフラの安全性向上に寄与します。

本発明は、同期部・統合部・DS部・CFAR部・分離部を備え、MNS構成とBMS構成を併用できるレーダシステムの設計思想を提示します。第1/第2レーダ部のTxSigはTr周期でチャープなど周波数変調を行い、Δfd(q)で定義されるDDM間隔を用いてドップラシフトを付与します。NDM(q)・Nt(q)・Na(q)はそれぞれ送信/送受信チャネル数を表し、 fTx(q) を用いたDDM分離によりMNS/BMSの分離を実現します。CFAR部は距離軸と DFreq軸を組み合わせた処理を行い、fbpMono/fbpBMSを抽出します。DC-CFARやマルチ受信CFARを適用して、DDM間隔の不整合を利用した信号分離精度を高めます。測角部は仮想受信アレーを使い方位を推定し、統合部が全測位出力を統合します。送信遅延 Td の設定により半距離分離可能条件を満たすケースも扱い、距離補正部で送信タイミング誤差の影響を補正します。実装は車載、路側、固定設備など多様な設置形態に対応します。

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