技術の概要
電力変換装置の発熱部を効率的に放熱するための液冷型放熱構造を解説します。筐体内部に冷却液流路を設け、複数のパワー半導体と樹脂固定板、熱伝導シートで熱を筐体の冷却面へ伝えます。放熱経路は縦置きMOSFETにも適用され、小型化と高密度実装を両立します。
ユースケース
- 車載充電器・車両用電力変換装置の放熱設計に適用
- 高電流・高電圧のパワー半導体モジュールの熱管理
- モジュール化による製造性・小型化の促進
- 液冷式流路を用いた車載・産業機器の冷却
- パッケージ絶縁を不要とする構成によるコスト低減と信頼性向上
本技術は、液冷式の電力変換装置において、縦置きのMOSFET群の放熱を低熱抵抗で筐体の冷却面へ伝える放熱構造を提供する。筐体の冷却面には樹脂固定板を固定し、各MOSFETの放熱面と樹脂固定板との間に熱伝導シートを挟む。第1部分は放熱面と接続され、第1部分の沿面から樹脂固定板の第1主面に沿って筐体の冷却面へ向かう第2部分を延ばす。第2部分は冷却面側から離れ、水平に延びて冷却面に熱的に接続される。これにより縦置きMOSFETの放熱を水平部へ伝えやすくし、縦型水路を不要にする。補助として絶縁層付金属板75、放熱グリス77、接着剤73、絶縁放熱接着シート79等を用い、熱経路と絶縁を最適化する。
本発明は、液冷式電力変換装置において、縦置きMOSFET群の放熱を低熱抵抗で筐体の冷却面へ伝える放熱構造を核心とする。筐体の冷却面に樹脂固定板を固定し、各MOSFETの放熱面と樹脂固定板との間に熱伝導シートを挟み込む。熱伝導シートの第1部分は放熱面と接続され、第1部分の放熱面に沿って樹脂固定板の主面へ向かう第2部分を延ばす。第2部分は冷却面側へ拡張され、金属筐体の冷却面に沿って水平部へ伝熱する。この経路は、縦置きMOSFET間の絶縁を確保しつつ熱を広範囲に拡散させ、放熱抵抗を低減する。補助部材として絶縁層付金属板75、放熱グリス77、接着剤73、絶縁放熱接着シート79、押し板83、ヒートシンク85等を組み合わせ、図示の複数の実施形態で熱伝導経路と絶縁の最適化を図る。第2実施形態では接着方式を見直し、絶縁放熱接着シート79を介して熱を分配する構成を示す。第3〜第7の実施形態では樹脂筐体4/2の有無、固定板の形状、追加の拡大伝熱面などを適宜変更して熱伝達経路を多様化する。これにより縦置きMOSFET群の放熱抵抗を低減し、筐体の小型化・モジュール化を実現できる。
