技術の概要
車両周辺の障害物を検出する仕組みと、それを用いた制御の全体像を解説します。低く高さの障害物が近づくと検知が消失しやすい課題に対し、測定情報と過去の検知結果を組み合わせて位置を補正します。これにより、駐車や低速走行時の衝突リスクを低減します。
ユースケース
- 自動駐車時の障害物回避
- 低障害物検知誤差の抑制
- 周囲情報と車両情報の統合制御
- 障害物マップの作成と再作成による信頼性向上
- 安全運転支援・衝突回避機能の強化
この技術は、車両に搭載した測定装置と車両制御装置を組み合わせ、車両の周囲の障害物の位置を検知します。検知した障害物の位置は「第一の位置座標」として地図に反映され、障害物を再検知できなくなった場合には低障害物かどうかを判断します。低障害物と判断されたときは、第一の座標を補正して「第二の位置座標」に合わせ、車両制御信号へ反映します。これにより、縁石のような低い障害物に近づく駐車動作でも検知距離の誤差を減らし、安全性が向上します。障害物情報は周囲マップとして保持され、現在の観測と過去情報を照合して更新します。検知閾値や補正距離は障害物の高さ・距離・センサの性質に応じて設定します。
本発明は、障害物検知部101、自車位置推定部102、障害物マップ作成部103、マップ再作成部104、走行制御部105から構成される車両用物体検出システムを対象とする。障害物検知部101は、送受波センサ51,52から車両周囲情報と車速情報を取得し、障害物の車両に対する位置座標を第一の位置座標として算出する。自車位置推定部102は車速等から車両の移動量と方向を第三の位置座標として推定する。障害物マップ作成部103は第一座標と第三座標から周囲の障害物座標マップを作成する。マップ再作成部104は過去の座標マップと現在の座標マップを比較し、消失した障害物を検出する。垂直指向性による消失(障害物が検知エリア外となる現象)を判断する手法を採用し、消失距離r′に対する補正距離eを用いて障害物の位置を再計算する。補正距離eは e = d(√(1 + ((h − a)/d)^2) − 1) で表され、ここでdは実距離、hは障害物の高さ、aはセンサ高さを表す。再計算後の距離dは d = r′ cos θ で求め、障害物マップを更新して走行制御部へ伝える。これにより駐車動作で低障害物に近づく際の接触リスクを低減する。補正は駐車動作時など低速走行時に適用する設定が推奨され、環境条件(温度・湿度)による検知距離のばらつきにも対応できるデータテーブル化の検討が有効である。システムはソフトウェア・ハードウェアの組み合わせで実装可能で、適切なデータ更新と安全性向上を両立する。
