技術の概要
本技術は、視線の動きに追従して3次元の虚像を正しく表示する表示装置です。左目・右目用の画像を導光体とホログラム素子で制御し、ユーザの両目位置が変化しても像の整合性を保ちます。
ユースケース
- 車載のヘッドアップディスプレイ(HUD)として、3D像を視線追従で表示する用途
- 教育・医療現場での立体教材・シミュレーション画像の提示
- 設計・製造現場での3Dデザイン検証・プレゼンテーション用表示
- 博物館・展示会での臨場感ある立体解説
- エンターテインメント分野での3D視覚補助ディスプレイ
本技術は、左右の目の位置が変化しても3次元の虚像を正しく表示できる表示装置の考え方を説明します。画像は左目用と右目です。それぞれの光は導く部品とホログラム素子を通って眼の前へ出射され、虚像は目の前に立体として見えます。制御部はカメラで両目の位置をとらえ、瞳の位置に応じてホログラム素子へ光が入射する位置を調整します。さらに出射位置も左右の目に合わせて決め、左右の像が混ざらないよう出射光の分離を行います。視線が移動しても、表示装置は適切に光路を更新して、クロストークを抑えつつ立体感を保ちます。これにより、車載や教育現場などで実用的な立体表示が可能となります。
本設計は、視線追従型のホログラム導光ディスプレイに関する統合的技術解説です。表示装置は画像光出射部、導光体、制御部からなり、導光体は入射ホログラム素子、折返しホログラム素子、出射ホログラム素子を内包します。制御部は撮像部で得た瞳孔座標を用いて左右眼の出射位置を決定し、折返し位置・入射位置を順次決定します。具体的には、右眼・左眼の出射位置を平面上の座標として定義し、折返し位置決定部が折返し素子の出射位置を算出します。入射位置決定部は、出射位置に対応する入射位置を決定します。入射位置調整部は画像光出射部の光線を決定された入射位置へ導き、画像光変更制御部は二眼の画像信号を必要に応じて変換します。これにより、瞳孔間距離(IPD)や導光部の厚み(d)に応じて伝搬距離LPを適切に設定し、出射光の間隔を制御します。クロストーク対策として、出射面上で左目領域と右目領域を独立に配置・拡張する変形例があり、視認性を損なわずに像の連結性を確保します。遮光部材を用いた時分割表示や、出射角の回転・出射領域の拡大といった多様な変形例を併用することで、複数の視聴者や視聴用途に対応します。設計上の注意点としては、入射領域のサイズ、出射領域間隔、伝搬距離の最適化、素材の屈折・回折特性の安定化、解像度・コントラスト維持が挙げられます。なお、ホログラム素子は透過型・反射型の組合せで実装可能です。
