技術の概要
車載用カメラの筐体内部における部品配置と導電性部材の組み合わせで、放熱性と電磁波シールド性能を向上させる技術を紹介します。筐体内部の部品間距離を縮めつつ、熱を筐体壁へ伝える経路を増やす設計と、部材の取り付け方法の工夫を解説します。
ユースケース
- 車載カメラの熱放散性能を向上させる用途
- 筐体内のEMIシールドを強化する用途
- 内部部品の密着度を高め、熱伝導路を最適化する用途
- 筐体モジュールとブラケットモジュールの組み込み用途
- コネクタ周辺の熱・機械的安定性を確保する用途
車載用カメラの筐体内部には、レンズ鏡筒、回路基板、撮像素子が収容され、回路基板と撮像素子を包む第1導電性部材が設けられます。底面部は筐体端面の内外の間に配置され、第一側面部は筒体の大径筒状部の内側に位置します。この配置により、内部部品と筐体の内壁との距離を縮め、熱が筒体壁へ伝わる経路を増やします。第2導電性部材はレンズ鏡筒ブラケットと回路基板の間に入り、外部電磁ノイズの遮蔽と内部熱伝導を補助します。樹脂部材は回路基板の反対面と筐体内面の間を埋め、熱の拡散を促進します。コネクタ周辺は筐体端面の孔を介して外部と接続され、熱経路を妨げずに安定性を保ちます。これらの構成により、筐体内の部品密度を高めつつ放熱性能と遮蔽性能を両立でき、車載環境の振動にも耐える信頼性を確保します。
本発明は、車載用カメラの筐体内部における熱設計と電磁シールドの両立を目的とする。筐体は大径筒状部と小径筒状部を有し、内部には回路基板と撮像素子を収容する第1導電性部材を配置する。第1部材の底面部は筐体端面の内面と外面の間に位置し、第1側面部は大径筒状部の壁部の内側と外側の間に配置される。これにより、内部部品と筐体壁との距離を縮め、熱流束を筐体壁に伝える経路を増やす。第2導電性部材は撮像素子と回路基板を囲む域に配置され、面状部を介して複数の接触部を形成する。これにより、内部スペースの狭さを保ちつつ、熱を放散するとともに電磁ノイズの遮蔽性能を向上させる。レンズ鏡筒ブラケットと樹脂部材は、回路基板上の部品と接続部品の温度差を縮め、局所的な過熱を抑制する。第1樹脂部材は第1導電性部材と回路基板端面の間や筐体壁の内側面と回路端面の間にも挟持され、熱伝導路を分散させる。第2樹脂部材は回路基板の第1面とブラケット面の間など、熱の伝搬経路を複数に分散させる。さらに、複数の凹部と部品配置を組み合わせ、筐体端面の内面の凹部が電子部品の高さと干渉しないように設計されている。インサート成形による筐体への部材一体化、接着剤による固定、磁性材を含む樹脂部材による追加のシールドなど、製造性と信頼性の向上も考慮されている。以上により、内部部品の密度を高めつつ熱を効率的に外部へ逃がし、車載環境の振動にも耐える信頼性を確保する。
