技術の概要
ホログラム素子を導光部内に複数領域として配置し、回折効率と偏向角を領域ごとに異ならせることで、画像光の輝度ムラを抑制します。導光部の表面・厚みの不均一性や出力光の分布不均一性に対しても有効で、車載ディスプレイやヘッドアップディスプレイなどの表示装置に適用されます。
ユースケース
- 車載ディスプレイ
- ヘッドアップディスプレイ
- AR表示機器
- 導光板を用いた薄型表示モジュール
- 製造プロセスの再現性・均一性改善
本技術は、透明基材に導光部を設け、画像光を回折して出射するホログラム素子を複数の領域に分割して配置します。各領域は回折効率と画像光の偏向角、そして偏向角に対する最適入射角を異なる値に設定します。これにより、導光部の表面の不均一性や厚みの不均一性、画像光の分布の不均一性が生んでいた輝度ムラを抑制します。領域間の差はU字型・線形・階段状・連続円弧状など、さまざまな変化形状をとり得ます。適用時には、従来よりも出射光の均一性を高め、表示品質を向上させることが期待できます。装置側では、図示された導光部とホログラム素子の組み合わせにより、車載ディスプレイなどの実用機での輝度ムラを抑制します。なお、複数領域の配置はX軸・Y軸のいずれか、または両方向にわたって設定可能です。製造時には、露光条件と領域ごとの仕様を適切に設定します。
本技術の核心は、導光部に内包された複数のホログラム素子(40)を、画像光出射部50から出射される画像光の特徴に応じてセル化する点にあります。セルは第1領域と第2領域などの複数の領域で構成され、各領域の回折効率、画像光の偏向角Θ、偏向角Θに対する最適入射角を域ごとに異ならせます。さらに、第3領域を加えるなどして、多方向(X軸・Y軸)へ領域を展開でき、輝度ムラの抑制効果を向上させます。表面不均一性・厚み不均一性・分布不均一性による輝度ムラを抑制するため、領域間で回折効率の差を設計し、偏向角と最適入射角の関係を調整します。具体的には、領域ごとにA(回折効率)とΘが連続的・階段状・非線形など、任意の変化形状をとるよう設計可能です。導光部内部の光路設計や、出射角の安定性を確保するため、入射ホログラム素子(41)、折返ホログラム素子(42)、出射ホログラム素子(43)の配置を工夫し、矩形領域だけでなくマトリクス状配置や高領域・低領域の組み合わせも有効です。厚みが不均一な導光部や表面粗さがある場合でも、セルの域ごとに最適化された回折特性を適用することで、画像光の分布を均一化します。製造時には、露光時の二光束入射角やレーザー強度の分布を領域ごとに調整し、図示のような非線形・階段状・連続円弧状の変化を実現可能です。適用範囲として、車載ディスプレイ、ヘッドアップディスプレイ、拡張現実表示、導光板を用いた表示デバイスなどが挙げられます。実装上の留意点として、領域間の差が大きすぎると、ある領域の回折効率が低下して輝度ムラが再発する可能性があるため、領域分割の粒度と変化量を適切に設計することが重要です。
