技術の概要
複数相のノイズフィルタを冷却板に固定した環形コイルで小型化する技術と、それを車載用電力変換装置へ組み込む設計を紹介します。コイルの軸方向を冷却板の方向に合わせ、入力側と出力側のリードを全相で反対側に引き出すことで、配線の交差を減らします。3
ユースケース
- 車載充電器
- 車載電力変換装置のノイズ抑制モジュール
- UPS/無停電電源装置のノイズ対策
- 航空機・産業用電源のノイズ抑制
- モジュール化ノイズフィルタの拡張構成(直列/並列)
本技術は、ノイズを取り除くノイズフィルタと、電力を変換する装置を小型化する構成です。複数相の複数線式コイルを、熱伝導性の高い冷却板の上に環状コイルとして固定します。コイルの軸方向は冷却板の方向に沿わせ、巻線の入口と出口となるリードを全相で反対側に引き出します。これにより、配線が互いに交差せず、部品の配置がすっきりします。コイルは筐体上部の熱を冷却板へ伝え、筐体はシールド機能と放熱機能を兼ねます。ノイズ対策用のYコンデンサとXコンデンサは、コイルの前後に整然と配置され、放熱板がコイルの間に挟まれる形で熱を逃がします。モジュール化して筐体に着脱固定する設計も可能で、後段のパワー回路と組み合わせて車載充電器などの全体を小型化できます。なお、放熱緩衝材で絶縁距離を確保しつつ、放熱と絶縁を両立します。
本技術の要点は、環形コイルを冷却板の第一主面に固定し、熱を第二主面から筐体へ逃がす熱設計と、コイルのリード配置を全相で揃える電気設計の統合にある。コイルは三相四線式のノイズフィルタとして構成され、Yコンデンサは線間ノイズ、Xコンデンサは線間・中性線間ノイズを抑制する。巻線の巻き始めと巻き終わりを、全相で軸方向の同一位置または対向位置に揃え、入力側と出力側のリードを分離して配線交差を低減する。放熱板はコイルの両サイドに設け、熱を冷却板へ伝えるとともに、筐体との間に隙間を作り熱流を分離する。放熱緩衝材で絶縁距離を確保しつつ部品を保持し、振動対策を簡素化する。筐体は金属製でシールド機能を持ち、モジュール化して直列・並列接続が可能。これにより、車載充電器や電力変換回路などの全体を小型化できる。複数相の巻線のリード位置は、入力側・出力側とも軸方向に揃え、径方向の位置は相ごとに内周側・外周側のいずれかに揃えることも可能で、設計自由度を高めて実装性を向上させている。さらに、コイルと放熱板の間には放熱緩衝材を充填する場合があり、絶縁距離の確保と機械的保持を同時に達成する。筐体の熱結合は熱伝導だけでなく、必要に応じて熱伝導性の充填材や対流を組み合わせて最適化される。実装例として、ノイズフィルタを車載充電器の筐体にモジュール化して搭載し、後段のPFICやDC-DC回路と連携して全体の小型化と信頼性向上を図る。なお、複数のノイズフィルタを直列・並列に組み合わせる設計も可能で、システムのノイズ抑制性能を拡張できる。
