技術の概要
振動板に螺旋状リブを組み込み、表面と裏面のリブを逆向きに配置して分割共振を抑制する技術です。高域の音圧特性を安定させ、音質の向上を狙います。スピーカなどの電気音響変換器に適用されます。
ユースケース
- 自動車のスピーカ装置(リア/フロントパネル含む)
- 家庭用オーディオ機器・ミニコンポのスピーカユニット
- 映像機器の音声出力部(テレビ・AV機器)
- 携帯端末・スマートデバイスの内蔵音響ユニット
- ポータブル/ワイヤレススピーカシステム
振動板は中心部から外周へ向かって螺旋状に延在する第一突条を表面または裏面の少なくとも一方から突出させ、同時に第一突条と逆向きの螺旋状に延在する第二突条を設け、交差させます。これらで囲まれた領域の面積を均等にせず分割共振を抑制します。材料は繊維を含む樹脂板などが用いられ、一体成形されます。具体例として第一突条を13本、第二突条を8本とする構成も説明されます。スピーカ装置では磁気回路(磁石を使って音を生み出す構造)とボイスコイル(磁場で振動板を駆動する部品)、フレームと組み合わせて使用します。
本発明の要点は、振動板の中心近傍から外周へ螺旋状に突条を延在させ、前後の表面に突起させる第一突条と、それと逆向きに螺旋状に延在する第二突条を設けて交差させる点にあります。これにより、隣接する突条間で囲まれた領域の面積を意図的に不均一化し、分割共振の発生を抑制します。第一突条と第二突条の本数や配置は、フィボナッチ数列を用いた設計が推奨され、例えば第一突条13本、第二突条8本といった組み合わせが挙げられます。黄金螺旋の形状をとる場合もあり、突条の高さは周囲部の厚みより高く設定されます。材料はポリエステル繊維の抄紙、あるいは補強材を練り込んだ樹脂などで作られ、一体成形されます。振動板はスピーカ装置の磁気回路(マグネットと磁性部品)とボイスコイル、フレームとともに組み合わされ、磁気ギャップの安定性と機械的共振の抑制を両立します。結果として従来より高域の音圧の落ち込みを抑え、周波数特性の平坦性と音質の明瞭度を向上させます。産業用途としては、映像機器・自動車・携帯機器などの音響系に適用可能です。
