振動部材透過音抑制型音響システム

技術の概要

本技術は、音波を発生させる装置と振動部材を組み合わせ、振動部材を透過する音を補正フィルタで抑制する音響システムです。測定と補正を組み合わせた特性作成手法により、実環境での透過音を効果的に低減します。

ユースケース

  • 車載・船舶・航空機内の透過音抑制
  • 建物・施設の遮音性能向上
  • 移動体・設備の騒音制御の設計・検証
  • 特性作成システムによるフィルタ設計の自動化
  • 製造工程での現場適用と品質保証

本技術は、音響発生装置と加振器、振動部材を用い、第一空間で発生した音波が振動部材を透過して第二空間へ伝わる透過音を低減する仕組みです。補正フィルタは透過音の伝達特性に基づき出力信号を調整し、遅延フィルタと共通フィルタが補完して効果を高めます。測定用装置で対象測定信号を取得し、対象音圧伝達関数(音の圧力伝わり方の関係)を用いて補正フィルタのゲインを決定します。これにより、実環境での透過音を抑制し、振動部材の振動を活かした遮音性能を安定して得られます。

本技術の要点は、音源系と振動機構、および伝達関数を用いた補正系を分離統合して、振動部材を介した音の透過を制御する点にあります。音響発生装置と加振器は同一信号源から分岐され、補正フィルタ130、遅延フィルタ、共通フィルタを経て各デバイスに出力します。補正フィルタは、振動部材の固有周波数特性と伝達路の遅延を踏まえ、少なくとも以下の式に基づきフィルタ特性Gを決定します。Hs=Ps/S、Hv=Pv/S、G=-Hs/Hv。特性作成部は、測定用音響発生装置が発生させる音波と測定装置が検出する対象信号を、フーリエ変換等の解析で処理して、複数位置から統計処理を行い信号対比較を行います。これにより、補正フィルタは空間の透過特性に対してロバストに適合します。現場では、測定用加振器を短絡させて内部抵抗による減衰を再現することで、推定精度を向上させ、複数位置の測定を統計処理して面状透過音抑制を実現します。

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