技術の概要
積層された回路基板間の電気的接続を立体的に拡張する構造と、それを実現するカギ型ワイヤーの配置原理を俯瞰します。汎用性と自由度を高め、部品実装密度の向上と放熱の効率化を狙います。
ユースケース
- 車載用電力変換装置の部品実装密度の向上と小型化
- 対向基板間の汎用的な電気接続構造による設計汎用性の向上
- コイルやXコンデンサを対向配置基板に実装するノイズ対策の柔軟性
- 放熱経路の確保と熱設計の効率化
- 部品の共通化・標準化による製造コストの低減
本技術は、電力変換装置などに搭載される複数の回路基板の間を、対向配置で立体的に接続する構造です。基板間を結ぶカギ型ワイヤーと呼ぶ導体線を用い、カギ部が上方へ突出して対向基板の表面と接触され、端子部が裏面側の配線パターンに電気的に接続されます。これにより、基板内の配線幅を抑えつつ大電流や長距離の接続にも対応でき、放熱経路の確保や小型化が促進されます。さらに、対向基板間の間隔を保持する支持部材や、ノイズ対策のコイルとコンデンサを対向基板に実装する構成を取り入れ、全体の信頼性や性能の向上を狙います。設計の汎用性は高く、同形状部品の再利用や量産対応が容易です。注意点として、絶縁層や端子部の露出長さ、基板間距離の管理、組立時の定位精度、ハンダ付け温度や熱影響の評価が挙げられます。
本発明の要点は、積層された複数の回路基板間を、従来の接続部材に頼ることなく、かつ配線パターンの自由度を損なわずに電気的につなぐことである。対向配置された基板間には、カギ型ワイヤーと呼ぶ導体を挿入し、カギ部を他方の基板表面側に突出させる。第1端子部と第2端子部は第2基板の裏面側へ露出し、各端子部は第1基板および第2基板の配線パターンにハンダ付けされる。カギ部は絶縁被覆されており、立体的に配線パターンを交差させることができる。カギ型ワイヤーは1本の金属線を曲げ加工して形成でき、複数本を交差させて同電位・異電位の回路を接続することも可能である。本技術は、コイルとXコンデンサを対向配置基板に実装するノイズ対策、支持部材による間隔保持、そして多層化による実装密度の制御を組み合わせる。車載充電器を例に、部品と基板の組み付け順序、ハンダ付け工程、熱設計の考慮点を整理する。従来のピンヘッダ・ブレード・バスバーと比較して、部品点数の削減、設計汎用性の向上、放熱の有効化、製造コストの低減といった利点が得られる。
