技術の概要
本技術は傾斜させた虚像を用いて車載ヘッドアップディスプレイの像を提示します。投射光学系は左右方向のパワーを強く設定し、縦方向の像距離ズレを抑えつつ視認性を安定させます。車載環境でのAR情報表示に適しています。
ユースケース
- 車載用HUDとしての情報表示
- ARナビゲーションの重畳表示
- 前方車両との距離・速度などの情報提示
- 小型車・大型車など幅広い車両への適用
- ダッシュボード設計の自由度向上と小型化
本発明のヘッドアップディスプレイは、画像生成装置が投射する画像を反射可能な対象物に投影し、観察者の向こう側に虚像を作ります。虚像は上下方向に傾斜させ、上側を遠くに見せることで奥行きを自然に感じやすくします。投射光学系は光路に沿って第一光学素子と第二光学素子を並べ、左右方向のパワーを上下方向より強くすることで虚像の横幅を整えます。対象物の光の反射と投射のバランスをとり、全体の合成パワーを適切に保つと、像の縦の収差を抑え、視距離のズレを小さくできます。
本技術の要点は、投射光学系の上下左右のパワーを適切に設計することで、傾斜した虚像の像面湾曲を抑えつつ、観察距離の理想からのズレを最小化する点にあります。具体的には、画像生成装置から出射される光路に沿って第一光学素子と第二光学素子を順次配置します。観察者の視線方向に対して、虚像の上下方向では上方を遠くに見せるよう傾斜を付与します。左右方向の合成パワーは上下方向より強く設定され、対象物の反射面を含めると左右方向・上下方向の合成パワーの符号を適切に合わせ、全系の収差を抑制します。中心光線を介して虚像の中心部とアイボックス中心の光路を揃えることで視認の安定性を高めます。実装として第一光学素子が正のパワー、第二光学素子が正・負を組み合わせるケースや、対象物のサイズに応じたパワー分布の微調整など、設計自由度が高い点も特徴です。車両のダッシュボード配置や風景との重畳表示にも適しており、誤認を減らすための情報の配置や表示内容の設計が重要になります。
