調光装置と表示装置の駆動手法解説

技術の概要

複数領域を持つ調光パネルを駆動する新しい方式を解説します。領域ごとに同一波形と異なる波形を組み合わせ、遮光と透光を高自由度で実現する点が特徴です。加えて、極性分割や直交波形などの工夫で回路規模と残留電荷の抑制を図ります。

ユースケース

  • 透明ディスプレイの視認性・コントラスト向上用途
  • 大面積表示パネルの局所遮光制御
  • 屋内外の光環境調整を同時制御する広告表示装置
  • 車載・民生端末のプライバシー調整ディスプレイ
  • 高コントラストディスプレイの長時間運用耐性向上

本技術は、調光装置と表示装置の駆動方法を示します。調光パネルは調光層と複数の列電極・行電極から成り、交差して現れる領域ごとに透過率を制御します。従来はパッシブマトリックス駆動の限界により、複数領域の個別制御が難しく、調光性能が十分でないことがありました。本発明では、領域を行・列の格子状に区画し、(1) 予め複数の電圧波形を準備、(2) 行・列を共通とする遮光グループを作成、(3) 同一グループには略同じ波形を、(4) 異なるグループには異なる波形を割り当てる、という手順で駆動します。これにより、遮光領域の印加電圧を実質ゼロに近づけ、透光領域には適切な実効電圧を与えられます。加えて、極性を2フレームに分割して波形を生成する構成や、直交関数に対応する波形を採用する場合など、回路規模の削減と残留電荷の抑制を図る工夫も示します。

本発明は、調光装置と表示装置を構成する調光パネルの駆動を、領域を格子状に区画したうえで波形ベースに制御する点を要点とします。領域R(i,j)は行方向をX、列方向をYとみなし、透過領域と遮光領域を組み合わせて表示を形成します。課題は、多数領域を個別に制御する際のオンオフ比と残留電荷の発生、駆動回路の複雑さです。これに対し、(a) 複数の電圧波形v(p,t)を用意し、(b) 行/列を共通とする遮光グループを作成、(c) 同一グループには同じ波形を、異なるグループには異なる波形を割り当てる、(d) グループに属さない領域には行と列で異なる波形を割り当てる、という手順を採用します。こうして遮光領域の印加電圧を理論上0、実測でも0に近づけ、透光領域には適正な実効電圧を与え、全体の駆動自由度を高めます。さらに、極性を2フレームに分割して波形を生成する構成(POL信号)や、直交関数に対応する波形の採用、複数のブロック構成によるスケーラビリティ、そして透明ディスプレイへの適用といった実装上の工夫を詳述します。これにより、オンオフ比の向上と残留電荷の抑制を両立し、部品点数の抑制とコスト低減を実現します。なお、直交関数として Walsh 関数を用いる場合や、ブロック化による多段駆動、複数のフレーム構成を組み合わせた場合など、実装形態は複数存在します。表示装置の背面外光の透過・遮光を同時に制御する用途にも適用可能です。

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