姿勢変更を支援する補助付きロボットハンド

技術の概要

吸着パッドで対象物を把持しつつ、補助部分で姿勢を安定させるロボットハンドの仕組みを解説します。起立姿勢から横倒し姿勢へ安全に姿勢変化を行い、構造体の組み付け作業を効率化します。

ユースケース

  • 部品の自動把持と姿勢変更による組立ラインの自動化
  • 起立姿勢と横倒し姿勢の素早い切替による組立段取りの短縮
  • 吸着パッドと補助部による非接触把持の高密度配置対応
  • 作業者の負荷軽減と作業安全性の向上
  • 研究開発・教育用デモ機や評価試験の活用

本技術のロボットハンドは、第1の部材と第2の部材を互いに交差させ、ハンド部の吸着パッドで対象物を把持します。吸着パッドは支持部分により本体部分と連結され、把持状態では補助部分が本体部分と対向する位置に設けられます。把持初期には補助部分は対象物に非接触ですが、対象物の姿勢を変えると重力の作用で端部が補助部分に接触し、回転を抑制します。これにより、真空破壊を招くことなく横倒し姿勢へ変更でき、作業員の介在を減らせます。交差角度θと許容モーメントには検証モデルを用い、1パッドあたりの許容モーメントと全長の関係を示します。実験ではθを10度以下に保つと、約94 mN·m程度のモーメントまで保持可能で、対象物の長さ300 mm以下が望ましいとされました。補助部分の位置やLA距離は設計条件として重要です。

本技術の要点は、吸着パッドを用いて対象物を把持するハンド部と、それを支持する補助部分を本体部に対して対向配置する点にあります。対象物は第1方向(U軸)と第2方向(V軸)にまたがる凸部を有し、吸着パッドはこの凸部を吸着します。補助部分は初期状態で非接触ですが、ハンドが対象物の姿勢を横倒しに変えると、重力により端部が補助部分に接触し、静止摩擦力で回転を制限します。これにより、吸着パッド内の空気が乱れて真空破壊が生じるのを防ぎ、把持を維持したまま姿勢を変更できます。角度の交差θと許容モーメントMの関係を検証した結果、θが小さいほどMは大きくなることが分かり、1つの吸着パッドあたりの許容モーメントはおおよそ20–21 Nmm程度の範囲で、実験条件ではθを10度以下に制限すると全体で約93–95 mN·mの耐荷重が得られました。設計上はLA(軸芯と補助部の距離)を約11 mmとすることでθを10度付近に保ち、長さ300 mm以下の対象物に適用可能としています。複数の本体部分を並べて支持したり、補助部分の形状を凹部・スリット等に変えることで、様々な対象物形状へ対応します。

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