技術の概要
複数層の配線基板上でミアンダパターンを用いて配線長を調整し、特定周波帯のノイズを抑制する技術です。層ごとに異なるパラメータを設定でき、樹脂筐体を用いた車載機器でもEMC対策を支援します。
ユースケース
- 車載用ECUのノイズ対策
- EMC規格の満足性向上
- 樹脂筐体を用いた機器のノイズ耐性改善
- 多層基板の配線長制御と伝搬遅延の最適化
- 表層と内層の異なる伝搬特性を活かしたノイズ抑制設計
本技術は、複数の配線層を持つ基板で、ノイズを抑えるためミアンダパターンを用いて配線長をわざと長くします。層ごとに伝搬速度を見積もり、表層はマイクロストリップライン、内層はストリップラインとして扱います。特定帯域のアンテナパターンにならないよう、λ/4 や λ/2 に対応する特定配線長を層ごとに設定します。ミアンダパターンは同期目的だけでなく、ノイズ抑制にも寄与します。材質の比誘電率や厚さ、配線幅を考慮して実効比誘電率 εe を用い、伝搬速度 v を算出します。実装時には樹脂筐体でもEMC規格適合を狙えますが、温度等で εr が変動する点に注意が必要です。
本設計は、配線長を特定帯域のアンテナ長にならないよう制御することでノイズを抑制します。基板は複数層で、各層の配線は異なるパラメータを用いてミアンダパターンを形成します。特定帯域はBDS帯やGLONASS帯などの周波数域を想定し、各層の特定配線長をλ/4またはλ/2の近傍に設定します。表層の伝搬速度v1はc/√εe、εeは式で計算します。式例: εe = ((εr+1)/2) + ((εr-1)/2) × 1/√(1+(10 h/w))。表層のλはλ1 = v1/f、内層は v2 = c/√εr2、λ2 = v2/f。特定帯域ごとに、表層と内層それぞれの特定長を求め、それに一致する配線をミアンダパターンへ置換します。配線長の設計は、全体の遅延揃えとノイズ分離のバランスを取るため、最短長だけでなく長さの分散も考慮します。設計時には、εr のばらつき、厚さ h、配線幅 w、温度依存性、製造公差を統合した余裕設計が不可欠です。これにより、樹脂筐体を用いた車載ECU でも目標とする EMC 評価値を達成しやすくなります。
