技術の概要
本解説は、振動部材へ回転モーメントを与えられる加振器と、複数の振動ユニット、規制部材を組み合わせた音響システムの要点を整理します。振動モードを選択的に励起し、透過音の抑制を実現します。用途は車両や建物などの不要音低減です。
ユースケース
- 車両内外の騒音・透過音の抑制
- 建屋・船舶・航空機の構造騒音削減
- 複数振動ユニットを用いたモード励起設計
- 特性作成システムによるフィルタ設計
- 音響システムの製造・検証プロセスの最適化
本技術は、振動部材に回転モーメントを加える第一振動ユニットと、同様に加振力を生じる第二振動ユニット、これらを固定する規制部材を備え、第一・第二ユニットの相対動作を制御して振動モードを選択的に励起できる音響システムの考え方を説明します。加振器は振動部材へ加振力を伝え、音響発生装置の音波と相互作用させて透過音を低減します。出力信号は第一補正フィルタと第二補正フィルタで調整され、振動部材を透過する音を抑える方向に作られます。現場では測定用装置と特性作成部を用い、対象領域での音圧伝達関数を用いてフィルタ特性を設定します。
本技術の要旨は、振動部材に回転モーメントを与え得る加振構造と、複数の振動ユニットおよび規制部材による機械的固定を組み合わせ、節の位置を含む複数の振動モードに対して効果的に励起・制御を行う点にある。第一・第二振動ユニットはそれぞれ独立に振動力を発生し、規制部材は両ユニットの相対運動を制限して安定性と協調性を保持しつつモードを選択できる。音響信号は第一補正フィルタと第二補正フィルタを介して各ユニットに出力され、透過音低減を目的として透過成分を抑制する。補正フィルタの設計は特性作成システムで行い、測定用音響発生装置と測定用振動部材を用いて対象音圧伝達関数を導出し、G1, G2を式により求めて実装する。さらに遅延フィルタや共通フィルタを組み合わせ、振動部材を透過する音成分を系全体で最適化する。現実の適用では、第一空間と第二空間を音響的に分離し、第一空間で音波を発生させ、第二空間の透過音量を抑制する設計が可能である。本発明は車両・建物・船舶など、騒音抑制を要する構造物に適用でき、設計・製造時には測定点の配置と信号分岐網を考慮して精度を高める。安全性面では機械的共振と過大なモーメントが生じないよう、規制部材の質量・剛性を適切に設定することが重要である。
