技術の概要
本技術は、車載ソナーの検知精度が低下した場合に異常を検知し、車両の衝突回避機能を維持します。受信波の特徴を比較して異常ソナーを特定し、必要に応じて検知ソナーと異常判定ソナーの役割を分担します。異常時には検知周期を工夫して安全性を確保します。
ユースケース
- 車両衝突回避の信頼性向上
- ソナー装置の自己診断と保守支援
- 車両設計段階での故障リスク評価
- 運転支援システムの補完的安全機能
- 悪条件下での検知精度維持と性能評価
本技術は、車両に搭載された複数のソナー装置のうち、検知精度が低下したソナーを見つけ出すしくみです。受信部が各ソナーの反射波の特徴を取り込み、特徴の差を比べて異常判定部が各ソナーの異常を判定します。特徴として、往復時間(波が物体へ行って帰ってくる時間)と波の高さの変化を用い、ばらつきを重視します。ECUという車両の頭脳が、異常と判定したソナーを通知し、必要に応じて検知ソナーと異常判定ソナーの役割を分け、車両の衝突予防に影響を与えないよう制御します。異常が出た場合は、他のソナーを優先して作動させ、検知周期を短くすることで衝突検知の信頼性を維持します。なお、外部の影響として温度変化や物体の付着などがあっても、複数回の計測を統合することで誤判定を抑えます。
本技術は、車両に搭載された複数のソナー装置の異常を網羅的に検出するためのアーキテクチャと処理手順を提供します。ECUは受信部から各ソナーが送出した超音波の反射波特徴を取得し、往復時間(TOF)、TOFのばらつき、反射波の振幅(波高)とそのばらつきを計算します。これらの特徴の差分が他のソナーと著しく異なるソナーを異常と判断します。必要に応じて、検知ソナーと異常判定ソナーの役割を動的に割り当て、前進・後退時の配置に応じて検知対象を切替えます。異常判定ソナーは、音圧を上げて再送波を行わせ、回復の評価を促します。全ソナーの計測結果は複数回の測定結果を統合して判断し、温度や付着物などの外乱の影響を抑えます。処理の流れは、(1)検知できないソナーへ音圧を上げ送波、(2)受信したTOF・波高の少なくとも1つを取り出して差を算出、(3)差が所定値を超えた場合に異常と判定、(4)全ソナーの判定が完了したら処理を終了、必要時には異常ソナーを検知周期から除外します。これにより、部品の故障や付着物、排気ガスの影響など多様な要因に対して耐性を高め、誤検知を抑えつつ安全性を確保します。
